2004年10月5日 報道発表

音の方向や距離感を再現し、撮影現場にいるような“音の臨場感”を楽しめる

世界初、デジタルビデオカメラ用音場記録再生技術
「バイフォニック3Dサウンド」を開発




「バイフォニック3D サウンド」用バイノーラルマイクロホンとビデオカメラ試作機

「バイフォニック3Dサウンド」用バイノーラルマイクロホンとビデオカメラ試作機



 日本ビクター(株)は、小型化が進むことで左右のマイクを離して設置できず、ステレオ感の再現が困難になっているデジタルビデオカメラ用の音場記録再生技術として、両耳に装着した2本のマイクで録音(バイノーラル録音)した音声に独自のデジタル信号処理を施すことで、音の方向や距離感を再現し、撮影現場にいるような“音の臨場感”を楽しめる「バイフォニック3Dサウンド」を開発しました(関連特許7件申請中)。
 本技術は当社の「原音探究」の思想のもと、長年培ってきた独自の音場再生技術を駆使して開発したもので、特別な再生システムを必要とせず、通常のテレビやオーディオシステムで臨場感あふれる音場を再現します。
 当社は今後、本技術を搭載したデジタルビデオカメラの商品化を検討していきます。
 ※2004年10月5日現在。収録後に特別な編集を必要としない方式として。



<「バイフォニック3Dサウンド」の特長>
 音場記録の核になるマイクロホンにおいて、新開発の小型高性能バイノーラルマイク(両耳に装着するマイク)を使用し、耳元で受けた音響情報を正確に記録します。この記録音声を当社独自の音場再現技術を駆使して高臨場再生信号処理し、2本のスピーカーで、撮影時の“音の臨場感”を忠実に再現するのが「バイフォニック3Dサウンド」です。
 小型化が進むデジタルビデオカメラにおいてはマイクの位置・形状からステレオ感の再現が困難でしたが、本技術により、遠近感・上下感といった三次元の豊かな音場再現が可能になります。また、本技術は特別な再生システムを必要とせず、通常のテレビやオーディオシステムで臨場感あふれる音場を再現します。
 サラウンド再生技術としてよく知られる「バーチャルサラウンド」は、2本のスピーカーだけでセンタースピーカーやリアスピーカーの効果を再現する方式ですが、今回の「バイフォニック3Dサウンド」は、音源の三次元的な情報を記録し、再生するものです。したがって頭上高くを飛ぶ鳥の声・耳元で囁く声など、「バーチャルサラウンド」ではできなかった三次元音場を再現します。

<「バイフォニック3Dサウンド」の信号処理概念図>

<「バイフォニック3Dサウンド」の信号処理概念図>

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<「バイフォニック3Dサウンド」を実現した技術>
耳元で受けた音響情報を忠実に集音するバイノーラルマイクロホン
 バイノーラル録音とは、耳介部に小型のマイクロホンを装着し録音することにより、両耳で受けた音響情報をそのまま記録する技術です。今回バイノーラル録音に最適な、小型高性能ヘッドホンタイプのマイクロホンを開発しました。耳元での集音を可能にするためにインナーイヤータイプを採用しています。
デジタル信号処理による高臨場再生信号処理「トランスオーラル処理」
 バイノーラル録音された音声は、通常、ヘッドホンで試聴することで高臨場感を得られます。「トランスオーラル処理」は、これを2本のスピーカーで実現させる技術です。今回、高性能DSPを使用し、当社独自の信号処理により、逆相感や個人差の少ない音像定位を実現しました。

インナーイヤーヘッドホンを改造したバイノーラルマイク試作機 「トランスオーラル処理」イメージ図
インナーイヤーヘッドホンを改造したバイノーラルマイク試作機 「トランスオーラル処理」イメージ図


<開発背景>

 近年、薄型大画面テレビ、DVDレコーダー、5.1CHサラウンドシステム等のホームシアター機器や、DVDソフトやハイビジョン放送等ならではの高画質&高音質コンテンツが普及し、家庭で“音の臨場感”を楽しめる環境が急速に整ってきています。一方、自作コンテンツの撮影ツールであるビデオカメラにおいては機器の小型化が進んでいますが、その反面、“左右のマイクを充分に離せない”“マイクサイズを大型化できない”などの制約から、ステレオマイク搭載にもかかわらず、音場は限りなくモノラルに近くなってしまう現象が発生しています。
 当社はこれまで家庭用ビデオカメラの高画質化に取組んできましたが、今回は、「デジタルビデオカメラの音声も、臨場感豊かに楽しみたい」「音も大切な思い出であり、撮影現場で聞いたままの音を残したい」という要望に応え、「原音探究」の思想のもとに長年培ってきた独自の音場再生技術を駆使し、感動の思い出を“高音質・高臨場”で記録再生する技術=「バイフォニック3Dサウンド」を開発しました。
 当社は今後、本技術を搭載したデジタルビデオカメラの商品化を検討していきます。
※「原音探究」… 当社オーディオ技術の基本精神で、オーディオ機器における音楽の忠実な再生にとどまらず、映像と音の記録再生において、音場の忠実な再現をも目指すものです。



※:このページの内容は、報道発表日時点の情報です。その後、内容に変更が生じる可能性があります。
  また、ご覧になった時点で、生産・販売が終了している場合がありますので、あらかじめご了承願います



この件に対するお問い合わせ先

日本ビクター(株) 広報室 03-3289-2813


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